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移植を受ける条件

腎臓移植の適応

腎臓移植の条件はとくに規則で定められているわけではありませんが、長い腎臓移植の歴史の中で積み重ねられた事実に基づいて標準化されたものです。したがって医学の進歩により少しずつ変化してきています。これはあくまで医師による医学的な判断で、移植施設により若干異なることがありますので、詳細については移植施設の担当者にご相談下さい。

  1. 透析治療を受けているか、近々透析治療が必要な場合
    腎臓移植は、多くは透析治療を受けている患者さんに対して行われますが、近々透析治療の必要な患者さんに、透析治療を開始する前に行われることもあります(先行的腎移植“透析前腎移植やプレエンプティブ腎移植とも言われる”)。
    また、先行的腎移植を希望して献腎移植登録も可能となりました。
    *申請には基準がありますので、詳細は移植施設あるいは担当医へご相談下さい。
    【参考:日本移植学会HP「先行的献腎移植申請基準変更に関するお知らせとお願い」
  2. 本人が腎臓移植を強く希望し、家族もそれに同意していること
    本人が腎臓移植について十分に理解した上で、強く希望しており、家族がそれに同意していることが必要です。
  3. 手術・全身麻酔に耐えられること

    全身麻酔のもとで行われる腎臓移植手術に十分に耐えられることが条件で、とくに心機能肺機能が重要です。また狭心性などの虚血性心疾患不整脈脳梗塞などの脳血管障害肝障害などが存在する場合には、専門医による治療を受けた上で、専門的な立場からの評価を行い、許可が得られれば可能です。

    糖尿病がある場合は専門医による治療と、糖尿病合併症(網膜症神経障害冠状動脈・脳血管・四肢動脈などの血管病変)の評価と治療が必要です。

  4. 感染症・悪性腫瘍などがないこと
    • 感染症、悪性腫瘍(癌など)を合併している場合は、まずその治療を優先します。
      治療により完治すれば腎臓移植は可能です。
    • 悪性腫瘍の場合は、完治したと考えられる時点から一定の期間、再発しないことを確認する必要があります。その期間は悪性腫瘍の種類、進行度および治療内容によって異なります。
    • 活動性の感染症がある場合は、まずその治療を行います。症状として現れていなくても、検査によって初めて診断される潜在性の感染症がある場合も、免疫抑制療法で悪化するため十分な注意が必要です。
    • HIV抗体(エイズウイルスに対する抗体)が陽性の場合は、免疫抑制療法によってウイルスが増殖し、発病が早まる可能性があるため、慎重な対応が必要です。
    • HTLV-1抗体(成人T細胞白血病)が陽性の場合は、後になって白血病神経症状(歩行障害、排尿障害、知覚異常、麻痺など)、肺病変、関節炎、眼病変(ぶどう膜炎)が発病する可能性がありますが、現状では十分なインフォームド・コンセントの上で腎臓移植が行われます。しかし免疫抑制療法によってウイルスが増殖し、発病が早まる可能性も否定しえないため慎重に検討する必要があります。
    • HBs抗原(B型肝炎ウイルスの表面抗原)が陽性の場合、無症候性キャリア(肝炎がない場合)、あるいは長期間(3〜6カ月以上)にわたってALT(GPT)が安定していれば禁忌ではありません。しかし免疫抑制療法により肝炎ウイルスが増殖し、肝不全に進展する可能性があるため注意深い管理が必要です。とくにHBe抗原が陽性の場合はウイルスの増殖能が強いためとくに注意が必要です。
    • HCV抗体(C型肝炎ウイルスに対する抗体)が陽性の場合も長期間(3〜6カ月以上)にわたってALT(GPT)が安定していれば禁忌ではありません。また抗体価が低力価の場合は、HCV・RNAが陰性である可能性が強く、検査の結果、陰性であれば問題ありません。
      HBs抗原あるいはHCV抗体が陽性の場合は、移植後も長期にわたって肝機能のチェック、超音波検査などによる肝癌のチェックが必要です。
  5. 血液型適合(腎臓の提供を考えている方へ:医学的な条件参照)
    以前は血液型適合が絶対条件でしたが、現在では血漿交換などにより血液型抗体価が低下すれば移植は可能です。したがって血液型が不適合でも腎臓移植は可能です。その場合、ドナーの血液型に対する抗体価を低下させるために移植前に血漿交換を行います。また、移植時には脾臓を摘出することもありますが、最近ではその頻度は減少しその代わりに抗体を産生するBリンパ球を抑制する薬を投与することが多くなりつつあります。成人の場合は脾臓を摘出しても大きな問題はありません。
  6. HLA抗原の適合度
    HLA抗原が出来るだけ適合していることが望ましいのですが、必須の条件ではありません。HLA抗原がすべて適合していなくても移植は可能です。
  7. ドナーのTリンパ球に対する抗体

    ドナーのTリンパ球に対する抗体が患者さんの血液中に存在する場合は、移植後早期に激しい拒絶反応が起こる可能性があるため移植は行わない方が無難です。ドナーのBリンパ球に対する抗体が存在する場合は、それほど問題になりません。

    これらのリンパ球に対する抗体を検査するために、移植前に必ずリンパ球直接交差試験(クロスマッチ)を行います。

  8. 腎不全の原疾患(腎臓の提供を考えている方へ:腎不全とその原因参照)

    慢性糸球体腎炎糖尿病性腎症腎硬化症嚢胞腎全身性エリテマトーデス(SLE)慢性腎盂腎炎急速進行性腎炎悪性高血圧症紫斑病性腎炎アミロイド腎痛風腎妊娠中毒症、さらに小児では腎形成不全先天性ネフローゼ尿路異常、その他の遺伝性腎疾患(アルポート症候群高蓚酸尿症)などがあげられます。

    このうちある種の慢性糸球体腎炎(IgA腎症巣状糸球体硬化症膜性増殖性腎炎膜性腎症)、および糖尿病性腎症急速進行性腎炎SLE紫斑病性腎炎アミロイド腎の場合は移植後再発する可能性があります。糖尿病性腎症の場合は移植後の血糖の管理が重要です。巣状糸球体硬化症ANCA関連腎炎SLEなどの場合は病勢が安定してから移植する必要があります。

    高蓚酸尿症は移植後早期に再発し、移植腎の機能廃絶に至る可能性があるため、腎臓移植の適応とは考えられていません。肝臓を移植した後に、あるいは同時に腎臓を移植すると良い結果が得られるとも言われています。